今年の「21世紀の縄文人展」で8月19日に公開した縄文絵巻のことを
書き残したいと思います。
めくるめく縄文絵巻「土器から聴こえる縄文人の足音」
版画家の太田二郎さんの発案で、
高さおよそ2m、長さ17mにおよぶロール紙に、
縄文をテーマに、太田さん、油画家の吉野剛広さん、私、の3人が共同で
アクリル絵の具で絵を描きました。
それに3人の合作の詩をつけました。
それを伊藤やよいさん、娘さんの田鶴(たづ)さんの、それは素晴らしい朗読とともに
皆さまの前でくるくると広げてお披露目いたしました。
9月中は「北杜市考古資料館」のロビーにて展示中ですので
ご覧いただけましたら嬉しいです。10月初めまでの展示と伺っています。
上描きの際に図らずも残した縄文人の目が
ロビー展示では逆光で光って見えるミラクル。
詩の全文も展示いただきました!
また、北杜市須玉町の増冨温泉方面にある「フィトンチッド」というカフェで
吉野剛広さんと奥様の九鬼菜生さんのガラスのかわいい作品展が開催中ですので
ぜひ足を運ばれてください。
017.8.11→10.9 山梨県北杜市須玉町比志5989-3 廃校喫茶フィトンチッド TEL 0551-45-0821 10:00→17:00 定休日:月・火(祝日の場合は営業、その翌日お休み)
http://pekori-an.blogspot.jp/2017/08/blog-post.html
吉野さんの画集、深い画面、ずっと見ていられます。文章も素敵。
吉野剛広作品集「木魂のうた」(A4変形全52ページ) 定価2000円(郵送の場合は別途送料250円)です。 購入希望の方は下記メールアドレスまでご連絡ください。 moorhen50862013★hotmail.co.jp (★を@に変えてください)
太田二郎さんのブックレット。「雪下の水音」¥2000
太田さんは妖精や妖怪や土着の民話、神話などの研究者でもあります。
その物語解説が非常に深くて現代人に通づるものなのです。いつも惹きこまれてしまいます。
ついているCDが素敵な古楽の響き。歌声も。
ここからは忘備録として絵巻制作のことを書いておきたいと思います。
長くなりそうなのでご興味がある方がいらっしゃいましたらご覧ください。
ひとつの土器を選んで、そこからのイメージの絵と詩なのですが、
私自身は、モデルの土器には縄文の全てが含まれているという感覚で、見た目の一致に縛られずに制作しました。
太田さん吉野さんとは絵の中身の打ち合わせはせず、
ある日一人が描き、
別の日に別の一人が描き、
というふうにして成り行きで制作していきました。
最後に、3人で描いた中央の絵に対し、
プロローグとエピローグを付け加える役目をいただきました。
制作期間は約2か月でした。
始めに「上描きされても恨みっこなし」との提案を吉野さんがしてくださり、
それで嬉しくなってのびのびと描かせていただきました。 日頃から吉野さんの創られる画面に感動している私は
これ佳きチャンスと、間近で吉野さんの線、マチエール、色彩、、を拝見!
シビレました!!
吉野さんは短時間でささっと描かれるようですが、
私は朝から夕方までかかっても同じクオリティーにはたどりつけず悔しいやら嬉しいやら。。。
私の出来ないところ、生き物など具体的な描画は太田さんと吉野さんに思い切り頼りました。
私は頑張って渦巻と花と葉っぱを描きましたが、あとは空間のつなぎのモヤモヤしたところに集中しました。
「あるものでやるのが好きなんです。」と、太田さんは初めて使うアクリル絵の具を見事に使いこなし、存在感たっぷりの縄文人や妖精を描いてくださいました!!
普段太田さんが作られる版画のサイズからは何十倍も大きいものなのに、どうしてあんなにどーんとした感じで描けるのか不思議です。そして色も美しく、感服いたしました!!
あるもので作り出す太田さんのマジックによって、
詩も、3人が考えたものをどこも削ることなく並べられ前衛的な詩に!!
私は文学が苦手で詩を作ることは皆無でしたが
太田さんの軽やかな言葉に乗せられ作ってしまいました。
太田さんも吉野さんも文章も素晴らしいのです。
はじめ、私はお二人についていけず色々質問させていただいたりしました。
そのうちにお二人が詩に込められた世界観に魅了され、
今ではこの詩が大好きで何回も読んでいます。
現在、詩も一緒に展示していただいていること、大変喜んでいます。
これを朗読された伊藤やよいさん、本当に素晴らしい表現者です。
自分達の書いた言葉に深く分け入ってくださり、思っていた以上の表現をしてくださり、
非常に感動いたしました。。。。!!
娘さんの田鶴(たづ)さんが読んでくださったところは私が書いた部分なのですが
私が考えたよりもずっと空間が広く、パワフルな表現になっていて、鳥肌がたちました。
そしてやよいさんの朗読によって「そうそう、それが言いたかった」と自分の想いを改めて知るという不思議な感動も味わわせていただきました。
とても素晴らしい朗読、本当にありがとうございました!!
一度だけでは勿体ないとの声を多数いただき、私もそう思っています。
人物も作品も個性的で魅力的なお二人との制作、
そして素晴らしい表現のお二人の朗読と、
同じ作品を共にできたことがとてもとても嬉しくて、宝物となりました。
朗読はその場でしか聴いていただくことが出来ませんが、
絵と詩を長く公開いただけてありがたいです。
このような制作を受け入れてくださった
北杜市考古資料館の村松様、スタッフの皆さまに、深謝いたします。
それからそれぞれのご家族様にもたくさんのご協力いただき(我が家含め)、
大変ありがとうございました。