制作する時に考えていることをメモ。
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絵を描くということは不思議だ。多くの人が幼い頃、自ら絵を描いている。なぜ描くのだろう。心が動いた時の、表現手段のひとつ?創造する喜び?
では画家とは?幼い頃の延長上であることは確かだが、仕事にするということは、社会との関わりを意識している。私は何のために描くのか?
正直なところ、自己顕示欲というさもしい気持ちは否定できない。それを思うと自分にがっかりする。それが先行することは芸術への冒涜な気がする。何度も何度も自分に問う。悲しいかな自己承認の目的を完全には否定できない。私は俗人だ。このさもしい気持ちの存在を確認できているだけマシだと思おう。
そしてたぶん、それが第一目的ではない。
私は、作品の前に立つ人の、心に寄り添えるものを創ることを望んでいる。
生きていることは、それだけで大変だ。いろいろな気持ちを抱える。そこに共鳴する何かに出会うことで、少しでも心が軽くなったり、なんとなくほぐれたりするものではないだろうか。そういう役割を担える作品を目指している。そして願わくばその人の中に元々ある力が湧き上がり、その人が幸せになる。結果、世界が幸せになる。
世界の幸せのために描く。
おこがましく聞こえるだろう。驚くことに、私は腹の底でそう思っている。
結果は、私以外の人が決める。
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